ネズミザメ(モウカザメ)

現生のサメ

ネズミザメ図鑑

スーパーの鮮魚コーナーで「モウカザメ」という切り身を見たことはありませんか? 安くて美味しく、フライや煮付けにされるその魚の正体こそ、今回紹介するネズミザメです。

「ネズミ」という可愛らしい名前とは裏腹に、見た目はあの「ホホジロザメ」にそっくりなミニチュア版。 さらに、冷たい海でも体温を熱く保つことができる、驚異の身体能力を持った「北の海のハンター」なのです。

基本情報

和名 ネズミザメ(別名:モウカザメ、カドザメ)
英名 Salmon shark
(サーモンシャーク)
学名 Lamna ditropis
分類 ネズミザメ目 ネズミザメ科
体長 最大 約3.0m(大型)
生息域 北太平洋の寒冷海域(表層〜中層)
分布 日本(北日本)、アラスカ、ロシア、カリフォルニア
IUCNレッドリスト 軽度懸念(LC)
危険度 ★★☆☆☆(2:大型だが事故は稀)

形態:ミニ・ホホジロザメ?

サケを追う流線型のボディ

英名で「Salmon shark(サケザメ)」と呼ばれる通り、サケなどの高速で泳ぐ魚を捕食するために進化した、筋肉質で流線型の体をしています。 背中は黒く、お腹は白いその姿は、近縁種であるホホジロザメによく似ています。 見分けるポイントは、お腹に散らばる暗色の斑点や、第1背びれの後ろ側が白くないことなどが挙げられます。

体温が高い「温血」のサメ

魚類は通常、周りの水温と同じ体温しか持ちませんが、ネズミザメは違います。 「奇網(きもう)」と呼ばれる特殊な熱交換システムを持っており、体温を周囲の海水よりも高く保つことができます。 これにより、アラスカのような極寒の海でも筋肉を温かい状態に保ち、獲物を猛スピードで追いかけることができるのです。

生態と動画

北太平洋の食物連鎖の上位

日本の東北以北やアラスカなどの寒い海を回遊しています。 サケやニシン、イカなどを好み、時にはラッコや海鳥を襲うこともある貪欲な捕食者です。 繁殖様式は「食卵型(しょくらんがた)」の胎生で、胎児は母親のお腹の中で、後から送られてくる栄養卵を食べて大きく育ちます。

【動画】ネズミザメの遊泳

水族館での飼育は非常に難しく(長期飼育例はアクアマリンふくしま等ごく一部)、生きた姿を見る機会は稀です。 力強く泳ぐ姿をご覧ください。

人との関わり

食卓を支える「モウカザメ」

ネズミザメは、日本(特に東北・北関東地方)において非常に重要な食用魚です。 スーパーでは「モウカザメ」「カドザメ」の名で切り身が売られています。 アンモニア臭が少なく、鶏肉のような淡白な味わいで、フライや煮付けにすると絶品です。

珍味「モウカの星」

気仙沼などのサメ水揚げ地では、ネズミザメの心臓が「モウカの星」と呼ばれ、刺身(レバ刺し風)として食べられています。 新鮮な心臓は臭みがなく、コリコリとした食感で人気があります。

よくある質問(FAQ)

Q: 人を襲いますか?

A: 人を積極的に襲ったという確実な記録はほとんどありませんが、体長3mに達し歯も鋭いため、潜在的な危険性はあります。ダイバーが近づきすぎると威嚇行動をとることがあります。

Q: なぜ「ネズミ」ザメ?

A: 諸説ありますが、顔つきがネズミに似ているという説や、水中でちょこまかと動く様子(実際は高速ですが)から来ているという説などがあります。

Q: ホホジロザメとどう違う?

A: 最大サイズが違います(ホホジロは6m、ネズミは3m)。また、ネズミザメは尾びれの付け根に「隆起線(キール)」が2本ありますが、ホホジロザメは1本です。

まとめ

ネズミザメは、ホホジロザメに匹敵するかっこいい身体能力を持ちながら、私たちの食生活も支えてくれている素晴らしいサメです。 今度スーパーで「モウカザメ」を見かけたら、北の海を疾走するその姿を思い出してみてください。

関連

  • ホホジロザメ – ネズミザメ科の代表種。サイズも危険度も桁違い。
  • アオザメ – 同じく高速遊泳が得意な、ネズミザメ目のライバル。

参考文献・出典

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