ハナザメ(Spinner Shark)図鑑
サメの中には、まるでフィギュアスケート選手のように、空中で高速スピンを決める種類がいます。 その名も**ハナザメ**(英名:スピナーシャーク)。 イワシなどの魚の群れに下から突っ込み、その勢いのまま海面から飛び出して、きりもみ回転しながらジャンプする姿は圧巻です。 よく似ている「カマストガリザメ」と混同されがちですが、実はヒレの色に決定的な違いがある、アスリートのようなサメを紹介します。
基本情報
| 和名 | ハナザメ(端鮫 / 鼻鮫) |
|---|---|
| 英名 | Spinner Shark |
| 学名 | Carcharhinus brevipinna |
| 分類 | メジロザメ目 メジロザメ科 メジロザメ属 |
| 体長 | 平均 2.0m(最大約3.0m) |
| 生息域 | 沿岸から沖合の表層(水深0〜100m) |
| 分布 | 世界中の温帯〜熱帯海域(日本、アメリカ、地中海、オーストラリアなど広範囲) |
| IUCNレッドリスト | 近危急(NT) |
| 危険度 | ★★☆☆☆(2:興奮時は注意) |
形態:カマストガリザメとの違い
名前の由来「長い鼻」
和名の「ハナザメ」は、吻(ふん:鼻先)が長く尖っていることに由来すると言われます(端が尖っている、または鼻が長い)。 英名の「Spinner Shark(回転するサメ)」は、後述する独特な狩りのスタイルから名付けられました。 体型は非常にスリムで流線型をしており、高速遊泳に適しています。
見分け方のポイントは「尻びれ」
ハナザメは、よく似ている「カマストガリザメ(Blacktip Shark)」と混同されがちです。どちらもヒレの先が黒いからです。 しかし、決定的な違いが一つあります。それは「尻びれ(お腹側の後ろにある小さなヒレ)の先が黒いかどうか」です。
- ハナザメ:尻びれの先が黒い。
- カマストガリザメ:尻びれの先は黒くない(白いまま)。
もし水族館や写真で「ヒレ先が黒いサメ」を見かけたら、尻びれに注目してみてください。そこが黒ければハナザメです。
生態と動画
高速回転ジャンプ
彼らの最大の特徴は、狩りのスタイルです。 イワシなどの群れを見つけると、下から垂直に急加速して突っ込みます。その際、口を開けながら体をドリル状に回転させ、獲物を捕らえながら勢い余って海面上へ飛び出します。 空中でも回転を続けることがあり、その姿はアクロバティックそのものです。
【動画】ハナザメの回転ジャンプ
フロリダ沿岸などで撮影された、ハナザメのジャンプ映像です。群れの中で激しく水しぶきを上げ、空中で回転する様子が捉えられています。
人との関わり
釣り(ゲームフィッシング)
その強烈なファイトと派手なジャンプから、アメリカなどではスポーツフィッシングの対象として人気があります。 針にかかると何度も空中にジャンプ(テイルウォーク)するため、釣り人を楽しませますが、鋭い歯でラインを切られることも多い相手です。
人への危険性
基本的には魚食性で、人間を狙って襲うことはありません。 しかし、濁った水の中や、魚の群れを追って興奮している時に、人間の手足を魚と間違えて噛み付く事故(いわゆる「ひっとらえ」)が稀に報告されています。 フロリダなどの海水浴場では、カマストガリザメと共にサメ咬傷事故の原因種の一つとされることがあります。
よくある質問(FAQ)
Q: なぜ回転するのですか?
A: 魚の群れの中で回転することで、多方向の魚を一度に捕らえたり、逃げ惑う魚を口の中に巻き込んだりする効果があると考えられています。
Q: 日本にもいますか?
A: はい、本州中部以南の太平洋側や、沖縄周辺に生息しています。ただし、カマストガリザメと混同されているケースも多いです。
Q: 食べられますか?
A: はい、肉は美味とされ、他のメジロザメ類と同様に練り製品や切り身として流通することがあります。
まとめ
ハナザメは、その名の通り「鼻」が長く、英名の通り「スピン」が得意なサメです。 カマストガリザメとそっくりですが、尻びれの黒いワンポイントと、海面を割って飛び出すダイナミックな行動で、私たちに強烈な印象を残します。