
世界のサメと人のくらし|アメリカ編
サメを守るには、捕ることを禁止する方法もあれば、種類ごとの状態を調べ、捕る量や方法を管理する方法もあります。アメリカでは、どのような取り組みが行われているのでしょうか。
この記事では、調査に基づく漁業管理、サメのヒレの取引規制、ハワイ州の保護を取り上げます。同じアメリカでも、海域や州によってルールが異なることに注目してみましょう。
この記事でわかること
- サメを守るために、なぜ調査が必要なのか
- サメ漁業の管理と、ヒレの取引規制の違い
- アメリカ全体の制度と、ハワイ州のルールの違い
サメを守る第一歩は、サメを知ること
多くのサメは、成長や子どもを産めるようになるまでに時間がかかり、一度に生まれる子どもの数も限られています。そのため、捕りすぎによって数が減ると、回復に時間がかかる場合があります。[1]
サメを守るには、「サメが何匹いるか」だけでなく、どの種類が、どこで暮らし、どのように増えるのかを調べることが大切です。また、サメを目的にした漁業だけでなく、ほかの魚を捕るときに一緒に捕まる混獲も考える必要があります。[1]
「サメ」をひとまとめにしないことが大切です。
ある種類についての調査結果を、そのまま別の種類にも当てはめられるとは限りません。保護を考えるときは、種類と海域を確かめましょう。
大西洋の例|捕る量や方法を管理する
アメリカのNOAA(アメリカ海洋大気庁)は、サメの調査と漁業管理に取り組んでいます。大西洋のサメ漁業では、漁獲量の上限、捕ってよい大きさ、漁具や海域の制限などを組み合わせています。[2]
漁業者などからの漁獲報告も、管理に使われます。海での調査と、実際の漁業から集まる情報をもとに、サメの状態を評価していくしくみです。[2]
持ち帰ることが禁止される種類もある
NOAAが管理する大西洋の商業漁業では、ホホジロザメ、ジンベエザメ、シロワニなど、保持が禁止されている種類があります。漁具にかかったことと、持ち帰ってよいことは別です。[2]
ただし、ここで紹介しているのは大西洋の管理の例です。アメリカのすべての海域や、すべての釣りに同じルールが当てはまるという意味ではありません。
考えてみよう:捕ってよい量を決める前に、どのような情報を集める必要があるでしょう?
サメのヒレをめぐる、2つのルール
サメのヒレについては、海での扱い方と、取引のしかたを分けて考えるとわかりやすくなります。
ヒレを切り取り、体を海に捨てる行為
サメのヒレを切り取り、残った体を海に捨てる行為は「フィニング」と呼ばれ、アメリカでは禁止されています。[2]
切り離したヒレの売買などを制限する法律
2022年12月23日に発効した「Shark Fin Sales Elimination Act of 2023」は、切り離したサメのヒレの売買・輸送・所持などを原則として禁止しています。ただし、特定の種類や研究などの限定された用途には例外があります。[3]
この法律は、すべてのサメ漁業やサメの肉の利用を禁止するものではありません。ほかのルールに従って合法的に捕られた、ヒレが自然についたままのサメについては、取り扱いが認められる場合があります。[3]
何を禁止しているのか、具体的に読んでみよう。
「サメを捕ること」「ヒレを切り取って体を捨てること」「切り離したヒレを売ること」は、それぞれ別の行為です。法律の名前だけで、すべて同じ規制だと判断しないようにしましょう。
ハワイ州|州の海でサメの捕獲などを禁止
ハワイ州では、2022年1月1日に施行された法律により、州が管轄する海で、サメとわかって捕獲したり、漁具に絡ませたり、殺したりすることが禁止されました。対象はすべてのサメの種類です。[4]
一方で、許可された活動や、自分やほかの人を守る場合などには例外が設けられています。これはハワイ州の制度であり、アメリカ全体のサメ漁業禁止ではありません。[4]
ハワイ州の説明は、サメが海の生態系で果たす役割に加え、先住ハワイの人々の文化や信仰との関わりにも触れています。サメを守る理由には、自然科学だけでなく、地域の文化も関わっているのです。[4]
考えてみよう:生きものを守るルールを考えるとき、その土地の文化を知ることには、どんな意味があるでしょう?
3つの取り組みを分けて見てみよう
この記事で紹介した制度は、対象となる場所や行為が異なります。
| 取り組み | この記事の例 | 確かめたいこと |
|---|---|---|
| 漁業の管理 | NOAAによる大西洋のサメ漁業管理 | どの種類を、どの海域で、どのくらい捕れる? |
| ヒレの取引規制 | 切り離したヒレの売買などの原則禁止 | 何を規制し、どのような例外がある? |
| 州の保護制度 | ハワイ州の海での捕獲などの禁止 | どこに適用され、何が禁止される? |
漁業管理は参考資料[2]、ヒレの取引規制は[3]、ハワイ州の制度は[4]に基づく整理です。
ルールがあることと、効果が出ることを分けて考えよう
「法律ができた」「捕る量を制限した」という情報だけでは、サメの数が回復したかまではわかりません。取り組みの効果を考えるには、調査結果や、ルールが実際に守られているかも確かめたいところです。
また、広い海を移動するサメを守るには、一つの国だけでなく、国際的な協力も必要になります。NOAAは、国際的な場での管理や、サメの識別・情報収集を支える取り組みにも参加しています。[1]
自由研究のヒント:国の名前だけで比べず、取り組みを比べよう。
パラオ、オーストラリア、日本、アメリカから2つの事例を選び、「対象のサメ」「対象の海域」「禁止・管理する行為」「効果を確かめる方法」を表にしてみましょう。
資料に書かれていない項目は「不明」と記録します。わからないことを残しておくと、次に調べたいことが見えてきます。
アメリカのサメ保護について、よくある疑問
アメリカでは、すべてのサメ漁業が禁止されている?
いいえ。ルールに従って行われるサメ漁業もあります。捕ってよい種類や量、使える漁具などは、海域や漁業の種類によって異なります。
ヒレの取引規制は、サメ漁業そのものの禁止?
いいえ。切り離したヒレの取引などを制限する制度と、サメを捕ることを管理する制度は別です。ヒレの取引規制には、特定の種類や用途の例外もあります。
ハワイ州のサメ保護は、アメリカ全体に適用される?
いいえ。ここで紹介した捕獲などの禁止は、ハワイ州が管轄する海の制度です。許可された活動や、人を守る場合などには例外があります。
捕る量を制限すれば、サメは必ず回復する?
必ず回復するとは言い切れません。種類ごとの状態や混獲などの影響、ルールが守られているかを調べ、数の変化を継続して確かめる必要があります。
ほかの国のサメとの付き合い方も見てみよう
サメ保護区、観光、人の安全、食文化。ほかの国の事例と合わせて読むと、サメを守る取り組みの違いが見えてきます。
参考資料・情報の確認日
情報確認日:。この記事は制度の概要を学ぶためのものです。具体的な漁獲制限や許可条件は、対象の種類・海域・活動によって異なり、変更される場合があります。
- NOAA Fisheries:Shark Conservation — サメの生態、混獲、保全と国際協力について。
- NOAA Fisheries:Understanding Atlantic Shark Fishing — 大西洋のサメ漁業管理、保持が禁止される種類、フィニング禁止について。
- NOAA Fisheries:Shark Fin Sales Elimination Act of 2023 FAQs — ヒレの取引規制、発効日、対象と例外について。
- ハワイ州水生資源局:Shark fishing ban goes into effect January 1 — 2022年に施行された州のサメ保護制度と、その背景について。