危険なサメの種類と海での対策|ホホジロ・イタチ・オオメジロザメの特徴

「サメは人を襲う」というイメージは映画やニュースの影響で強いですが、実際には世界に500種類以上いるサメのうち、 人間に対して積極的に危害を加える可能性があるのはごく一部の種類に限られます。

しかし、海は彼らのテリトリーです。正しい知識を持たずに不用意に近づけば、事故につながるリスクはゼロではありません。 ここでは、特に注意が必要な「危険なサメ」の代表種と、海で安全に過ごすために私たちができる具体的な対策を解説します。

特に注意が必要な危険なサメ(三大サメ)

国際サメ被害目録(ISAF)などのデータにおいて、人間への咬傷事故(こうしょうジコ)の記録が比較的多いのが以下の3種類です。 これらは体が大きく、あごの力が強いため、万が一噛まれた場合の被害が大きくなりやすい特徴があります。

ホホジロザメ(Great White Shark)

映画『ジョーズ』のモデルとしても有名な、世界最大級の肉食魚です。全長は最大で6メートルを超えます。 主にアザラシやオットセイなどの海生哺乳類を主食としています。

  • 特徴:黒目がちな目と、三角形の鋭い歯。背中は灰色で腹側は白い。
  • 危険な理由:サーフボードに乗った人間を、下から見上げてアザラシと見間違えて試し噛みをする「誤認」による事故が多いとされています。
  • 生息域:世界中の温帯から亜寒帯の海。日本近海でも目撃されます。
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イタチザメ(Tiger Shark)

体の側面に独特の縞模様があることから、英語では「タイガーシャーク」と呼ばれます。 極めて好奇心が強く、何でも口にする悪食(あくじき)として知られています。

  • 特徴:幅広でハート型に近い歯を持ち、ウミガメの甲羅も噛み砕きます。
  • 危険な理由:浅瀬や港湾内に入り込むことがあり、波打ち際近くでも遭遇する可能性があります。好奇心で人やボートに近づくことがあります。
  • 生息域:熱帯から温帯の暖かい海。沖縄や南日本の沿岸にも生息しています。
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オオメジロザメ(Bull Shark)

ずんぐりとした体型と、牛のような強気な性格から「ブルシャーク」と呼ばれます。 他のサメとは異なり、淡水に適応できる能力を持っています。

  • 特徴:丸くて短い吻(鼻先)と、小さな目。背びれは三角形で大きい。
  • 危険な理由:海水だけでなく、川や湖にまで遡上(そじょう)します。濁った水域を好み、視界が悪い中で獲物を襲うため、人と接触するリスクが高まります。
  • 生息域:世界中の暖かい沿岸部や河口域。日本の河川での目撃例もあります。
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海でサメに遭遇しないための5つの対策

サメ事故の多くは、人間側の行動によってリスクを減らすことができます。 以下の条件が重なる場所や時間は、サメの狩りのスイッチが入っている可能性があるため避けましょう。

  1. 朝夕(薄明薄暮)の遊泳を避ける
    多くの大型サメは、夜明けや夕暮れ時に狩りを活発に行います。視界が悪くなる時間帯は避けましょう。
  2. 河口付近や濁った水域に入らない
    特に雨の後など、濁った水はオオメジロザメなどが好む環境です。また、川から流れてくる栄養分に小魚が集まり、それを狙うサメも集まります。
  3. 怪我をしている時や生理中は海に入らない
    サメの嗅覚は非常に鋭く、ごく微量の血の匂いでも敏感に察知します。切り傷がある場合は完全に止血してから海に入りましょう。
  4. キラキラ光るアクセサリーを身につけない
    金属や宝石の反射は、サメにとって「小魚の鱗(うろこ)のきらめき」に見えることがあり、興味を引いてしまう可能性があります。
  5. 単独行動を避ける
    サメは群れよりも、ポツンと一人でいるターゲットを狙う傾向があります。できるだけ複数人で行動し、ライフガードのいる管理されたビーチで泳ぎましょう。

もしサメに出会ってしまったら?

万が一、海中でサメに遭遇してしまった場合、パニックになって水面を激しく叩いて逃げるのは逆効果です。 弱った獲物だと思われないよう、以下の行動を心がけてください。

  • 落ち着いて、目を離さない:サメは視線を感じている間は襲ってきにくいと言われています。背中を見せずに、サメの動きを目で追い続けてください。
  • 静かに後退する:水しぶきを立てないように、ゆっくりとボートや岸に向かって後退します。
  • 刺激しない:こちらから攻撃したり、急に動いたりすると、サメの防衛本能や捕食スイッチを刺激してしまいます。

まとめ

サメは海の生態系にとって必要不可欠な存在であり、むやみに恐れたり駆除したりする対象ではありません。 しかし、相手は野生動物であり、圧倒的な力を持った捕食者です。

私たちが「彼らの家にお邪魔している」という意識を持ち、正しい知識とルールを守ることで、海での悲しい事故は防ぐことができます。 正しく恐れ、正しく対策をして、海のアクティビティを楽しみましょう。

参考文献・出典

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