サメは「人を食べる生き物」というイメージを持たれがちですが、人間はサメの一般的な獲物ではありません。 サメが食べるものは種によって大きく異なり、魚、イカ・タコ、 カニやエビなどの甲殻類を食べる種類が多い一方、 貝やウニを砕いて食べるサメ、プランクトンや小魚を海水からこし取る巨大なサメもいます。
食べ物の違いは、歯の形、体のつくり、生息場所、狩りの方法にも表れます。 この記事では「サメは何を食べるのか」を先に簡潔に答えたうえで、代表的な食性、歯、感覚器官、 種類ごとの違いを分かりやすく解説します。
結論:サメは何を食べる?
多くのサメは魚、イカ・タコ、カニ・エビなどを食べます。 大型種の一部はアザラシやウミガメなども捕食し、ネコザメなどは貝やウニを砕いて食べます。 ジンベエザメ、ウバザメ、メガマウスザメは、主にプランクトンや小魚、魚卵などをこし取って食べます。
つまり「サメの食べ物」をひとつに決めることはできません。 500種を超えるサメを全部「肉を食べる怖い魚」で片づけるのは、人間を全員ラーメン好きに分類するくらい雑です。
サメの代表的な食性は大きく3タイプ
サメの食性を厳密に3種類だけへ分けられるわけではありませんが、代表的な食べ方は次の3タイプに整理できます。 複数のタイプにまたがる種類や、死んだ動物を食べる種類もいます。
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魚やイカなどを捕らえるタイプ
魚、イカ、タコ、ほかのサメなどを追跡したり、待ち伏せしたりして捕らえます。 大型種の一部は、成長するとアザラシ、イルカ、ウミガメなども食べます。 例: ホホジロザメ、 アオザメ、 ヨシキリザメ。 -
海底の生物を食べるタイプ
海底や岩場を探り、カニ、エビ、貝、ウニ、ゴカイ、小魚などを食べます。 硬い殻を砕くため、平たく丈夫な歯を持つ種類もいます。 例: ネコザメ、 ドチザメ。 -
濾過摂食をするタイプ
海水と一緒に小さな生物を口へ取り込み、えらの内側にある濾過構造で餌をこし取ります。 主な餌は動物プランクトン、オキアミ、魚卵、小魚などです。 例: ジンベエザメ、 ウバザメ、 メガマウスザメ。
3種類のプランクトン食サメについては、 三大プランクトン食サメ|ジンベエザメ・ウバザメ・メガマウスザメの違い で、食べ方や口の形を比較しています。
歯の形を見ると「何を食べるか」が分かる
- 切断型の歯: 幅が広く、縁がノコギリのようにギザギザしています。 肉や大きな獲物を切り取るのに適しています。 例: ホホジロザメ、 イタチザメ。
- 砕くための平たい歯: 奥歯のように丸く厚い歯が並び、貝、カニ、ウニなどの硬い殻を砕きます。 例: ネコザメ。
- つかむための細長い歯: 細く鋭い歯が、すべりやすい魚やイカへ突き刺さり、逃げにくくします。 例: アオザメ、 ヨシキリザメ。
- 食事にはほとんど使わない小さな歯: 濾過摂食をするサメにも歯はありますが、獲物を噛み切るためにはほとんど使われません。 例: ジンベエザメ、 ウバザメ。
サメの歯は、口の奥から前方へ順番に移動するように生え変わります。 前列の歯が抜けたり欠けたりすると、後ろにある新しい歯が補充されます。 交換の速さは種類や成長段階によって異なりますが、一生の間に数千本以上の歯を交換するサメもいます。
歯の本数や生え変わり方は、 サメの歯は何本ある?生え変わるふしぎな仕組み で詳しく紹介しています。
サメはどうやって獲物を見つける?
サメは嗅覚だけを頼りに泳いでいるわけではありません。 視覚、聴覚、嗅覚、側線、電気を感じるロレンチーニ器官など、複数の感覚を組み合わせて獲物を探します。
- 視覚: 明暗や動き、周囲とのコントラストをとらえます。 水面付近では、獲物のシルエットも重要な手がかりになります。
- 嗅覚: 血だけでなく、魚などから水中へ溶け出したさまざまな化学物質を感知します。 感度や反応する物質は種類によって異なります。
- 聴覚: 水中を伝わる低い音や、不規則な音を感じ取ります。 弱った魚が立てる音が手がかりになることもあります。
- 側線: 体の側面にある感覚器官で、水流や近くの生物が起こす振動を感じます。
- ロレンチーニ器官: 頭部にある小さな感覚器官で、生物の筋肉などが発する微弱な電気を感じます。 砂に隠れた獲物を探したり、最後に獲物の位置を確かめたりするときに役立ちます。
サメの代表的な狩り方
- 待ち伏せ: 海底にとけ込んで動かず、近づいた魚やタコへ一気に噛みつきます。 例: オオセ。
- 高速で追跡・突進: 流線型の体と強い尾びれを使い、高速で泳ぐ魚を追います。 例: アオザメ。
- 下方からの急襲: 深い場所から水面付近の獲物へ接近し、勢いをつけて襲います。 例: ホホジロザメ。
- 吸い込み: 口の中の圧力を変え、岩の隙間や海底にいる魚、タコ、甲殻類などを吸い込みます。 底生性のサメやテンジクザメ類などに見られます。
- 海水からこし取る: 餌が多い海水を取り込み、プランクトン、魚卵、小魚などを濾過します。 ジンベエザメは吸い込む方法も使い、ウバザメは口を開けて泳ぎながら海水を通します。
種類別に見る、サメの食べ物と特徴
| サメ | 主な食べ物 | 食べ方の特徴 |
|---|---|---|
| イタチザメ | 魚、ウミガメ、海鳥、ほかのサメ、死んだ動物など | 幅広い獲物を利用する機会的な捕食者。鋸歯のある歯で硬い獲物も切断する。 |
| ホホジロザメ | 魚、イカ、エイ、ほかのサメ、アザラシなど | 幼魚は魚類などを多く食べ、大型になると海生哺乳類も利用する。 |
| アオザメ | サバ、カツオ、マグロ、イカ、小型のサメなど | 細長い歯と高速遊泳能力で、素早い獲物を追う。 |
| ヨシキリザメ | イカ、魚、小型のサメ、死んだ動物など | 外洋を広く回遊しながら、その海域で利用できる餌を食べる。 |
| ネコザメ | 貝、ウニ、カニなど | 海底を探し、奥側の平たい歯で硬い殻を砕く。 |
| ドチザメ | カニ、エビ、魚、イカなど | 沿岸の海底付近で、食べやすい小動物を探す。 |
| オオメジロザメ | 魚、エイ、ほかのサメ、鳥類など | 沿岸、河口、川などで幅広い獲物を利用する。 |
| ジンベエザメ | 動物プランクトン、オキアミ、魚卵、小魚など | 海水と餌を吸い込み、えらの濾過構造でこし取る。 |
| ウバザメ | 主に動物プランクトン | 口を大きく開けたまま泳ぎ、海水を通して餌をこし取る。 |
| メガマウスザメ | オキアミなどの動物プランクトン | 濾過摂食を行うが、実際の捕食行動には未解明な点も多い。 |
このほかの種類は、 サメ一覧|名前あいうえお順の画像付き図鑑 から探せます。
サメの食べ物は成長や環境でも変わる
- 成長による変化: ホホジロザメは、幼い時期には魚、イカ、小型のサメやエイなどを多く食べ、 体が大きくなるとアザラシやアシカなども捕食するようになります。
- 生息場所による変化: 海底付近に暮らすサメは甲殻類や貝などを利用しやすく、 外洋を回遊するサメは魚群やイカなどを追う傾向があります。
- 餌の量や季節による変化: 回遊魚、イカ、プランクトンなどが集まる時期や海域に合わせて移動するサメもいます。 ただし、すべてのサメに共通する単純な季節パターンがあるわけではありません。
- 利用できる餌による変化: イタチザメやオオメジロザメのように、その場所で利用できるさまざまな獲物を食べる種類もいます。
サメは人を食べるの?
人間は、サメの通常の食性を構成する獲物ではありません。 ただし、人への咬みつきがすべて同じ理由で起きるわけでもありません。
波打ち際や濁った水中で起きる一部の事故については、 人の動きやシルエットを魚などの獲物と取り違えた可能性が指摘されています。 そのほか、正体を確かめるための咬みつき、防御的な反応、餌が集まる場所での捕食行動なども考えられます。
よく使われる「アシカと間違えて一口だけ噛む」という説明は、すべての事故に当てはまる確定事項ではありません。 また、調査目的や誤認による一度の咬みつきでも、大型のサメでは重大な事故になる可能性があります。
実際の事故傾向については、 世界と日本のサメ被害マップ で詳しく紹介しています。
サメが海の食物網で果たす役割
すべてのサメが海の頂点捕食者というわけではありません。 ホホジロザメのような大型の上位捕食者もいれば、より大きな動物に食べられる中間的な捕食者、 海底の小動物を食べる小型種、プランクトンを食べる大型種もいます。
上位・中位捕食者としてのサメは、獲物となる生物の数や行動に影響し、海の食物網を支えています。 また、死んだ動物を食べる種類もいます。ただし、生態系への影響はサメの種類や海域によって異なるため、 「弱い魚だけを食べて海を健康にする」と単純化することはできません。
海でサメとの事故を避けるためのポイント
- 単独で泳がず、できるだけ岸から離れすぎない。
- 早朝、夕暮れ、夜間、濁って周囲が見えにくい水域では特に注意する。
- 魚群、海鳥が集まる場所、釣りや漁業活動の近くでは泳がない。
- 撒き餌や釣った魚を海へ入れている場所へ近づかない。
- 出血している場合は入水を避ける。
- サメを見かけても追いかけたり触ったりせず、落ち着いて水から離れる。
- 海水浴場や自治体、ライフセーバーによる注意・遊泳禁止情報に従う。
サーフィンや海水浴時の具体的な注意点は、 サーファーのためのサメ回避術 を確認してください。
よくある質問
サメが最もよく食べるものは何ですか?
種類によって異なりますが、多くのサメは魚、イカ・タコ、カニ・エビなどを食べます。 すべてのサメがアザラシや大型動物を襲うわけではありません。
ジンベエザメはプランクトンだけを食べるのですか?
主に動物プランクトンを食べますが、オキアミ、魚卵、小魚、イカなども海水と一緒に取り込みます。 「植物性プランクトンだけを食べる」という意味ではありません。
プランクトンを食べるサメは何種類いますか?
現生のサメでは、ジンベエザメ、ウバザメ、メガマウスザメの3種が代表的な濾過摂食性のサメとして知られています。
サメは人間を餌だと思っていますか?
人間はサメの通常の獲物ではありません。 ただし、誤認、調査、防御、餌が集まる場所での行動などによって咬みつき事故が起きる可能性はあります。
サメは獲物をかんでから食べますか?
大型の獲物を歯で切り取るサメもいれば、小さな魚やイカをほぼ丸ごと飲み込むサメ、 貝を砕くサメ、海水から餌をこし取るサメもいます。食べ方も種類ごとに異なります。
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参考文献・出典
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Smithsonian Ocean Portal – Sharks
https://ocean.si.edu/ocean-life/sharks-rays/sharks -
NOAA Fisheries – White Shark
https://www.fisheries.noaa.gov/species/white-shark -
NOAA Fisheries – Shark Conservation
https://www.fisheries.noaa.gov/international-affairs/shark-conservation -
Florida Museum – A Shark’s Infinite Regeneration of Teeth
https://www.floridamuseum.ufl.edu/sharks/blog/a-sharks-infinite-regeneration-of-teeth/ -
Florida Museum, International Shark Attack File – How to Avoid a Shark Attack
https://www.floridamuseum.ufl.edu/shark-attacks/reduce-risk/how-to-avoid-a-shark-attack/ -
Shark Trust – Shark Senses
https://www.sharktrust.org/shark-senses -
FishBase – Species Search
https://www.fishbase.se/search.php