サメの歯は何本ある? 抜歯しても生え変わるふしぎなしくみ
サメといえば鋭い歯。映画『ジョーズ』のように大口をあけて 獲物を噛みくだくシーンを思い浮かべる人も多いでしょう。 しかし、サメの歯はただ「こわい」だけではなく、 生態を理解するうえでとても重要なポイントです。 ここではサメの歯の本数や形、生え変わりのしくみ、 さらには人間との違いまでをくわしく見ていきましょう。
サメの歯はとんでもない数!
サメの歯は種によって本数が大きくちがいます。
- ホホジロザメ … 上下あわせておよそ300本。獲物を噛み砕くのに適した、 ギザギザした三角形の歯を持ちます。
- アオザメ … 細長く鋭い歯が200〜300本。 すばやい魚を逃さないようにしっかりと刺し通すのに役立ちます。
- ジンベエザメ … とても小さな歯が3,000本以上。 濾過に使うだけで噛む力は弱いとされています。
このほか、オナガザメは長い尾びれで獲物をたたき気絶させてから丸のみします。 このように、サメの歯は「噛み切る」「砕く」「すくう」など、 それぞれの生態と食性に適応した形をしています。
何度でも生え変わる「ベルトコンベア」
サメの歯の最大の特徴は、 「何度でも生え変わる」ことです。 サメの口の中には、何列もの歯が後ろから前へと並んでいて、 まるでベルトコンベアのよう。
いちばん前の列の歯が折れたり、抜けたりすると、 すぐその後ろから新しい歯がせり出してきます。 このしくみのおかげで、サメはつねに鋭い歯を保つことができます。 種によっては、一生のあいだに数万本の歯を使い捨てるといわれています。
歯が語る、進化の物語
サメの歯は、長い進化の歴史のなかで、さまざまな形に分化しました。
- ギザギザの歯: ホホジロザメや イタチザメの歯はノコギリの刃のようにギザギザしていて、 獲物の肉を噛み切るのにとても便利です。
- 平たい歯: ネコザメの仲間は平たくて丸い歯を持ち、 海底の貝や甲殻類などを砕いて食べます。
- 小さな歯: ジンベエザメや ウバザメのようにプランクトンを食べるサメは、 歯があってもとても小さく、あごの力も弱いです。
とくに古代に生きるサメの王者として知られるメガロドンの巨大な歯は、 長径15センチをこえます。 このような化石から、昔のサメがどれほど巨大であったかを研究することができます。
人間の歯との違い
人間の歯は、一生に二回にしか生え変わりません( 乳歯から永久歯)。 それに対してサメは、一生のあいだに何万回も生え変わります。
この違いは、サメが海で生きるために得た能力です。 魚や硬い骨を噛んだり、戦ったりして歯が折れても、 すぐに新しい歯に交換できます。 この強い再生力のおかげで、サメは4億年もの間、絶滅することなく生き延びてきました。
歯のひみつ、もっと知りたい!
- 化石のお話: サメの骨は軟骨なので残りにくいですが、硬い歯は化石になりやすく、 たくさん見つかります。古代のサメを研究するうえでとても重要な資料です。
- 「お守り」になる歯: 世界の一部の地域では、サメの歯を幸運のお守りとして持ったり、 装飾品として使ったりしてきました。
- 歯の形で種類を知る: サメの歯の形は種ごとに違うため、見つけた歯から、 それがどのサメのものかを特定できます。
まとめ
サメの歯は、本数も形も多種多様で、 一生のあいだに何万本も生え変わる不思議なしくみを持ちます。 そのしくみは人間とは大きくちがっていて、サメが海で生き抜くための 進化の結晶といえるでしょう。 この歯のひみつを知ることで、サメをもっと身近に感じられるかもしれませんね。
関連リンク
参考文献・出典
- Smithsonian Ocean Portal – Sharks & Rays
https://ocean.si.edu/ocean-life/sharks-rays - FishBase – Sharks(検索ページから各種データへ)
https://www.fishbase.se/search.php - Shark Trust – Teeth & Feeding(概説)
https://www.sharktrust.org/
参考文献・出典
- FishBase https://www.fishbase.se/
- FAO Fisheries & Aquaculture http://www.fao.org/fishery/
- Smithsonian Ocean Portal https://ocean.si.edu/
- Shark Trust https://www.sharktrust.org/
- 『Sharks of the World』(Princeton University Press)